シュメール人のメモ

気楽に色々書くよ。

「罪の声」を観た

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《ネタバレ注意!》






「罪の声」は出来の悪い娯楽映画だと思った。基本的にこの映画は人に話を聞くだけの展開しかなくて退屈。

子供のころ事件に声を使われただけなのに世界の終わりのように絶望する星野源がウザい。ママンに恨み節をぶつける40男の姿も実に痛々しかった。別にたいしたことじゃないだろ。同じく事件に声を使われて不幸になる姉弟もいるが、それは事件に声を使われたからではなく、たんにヤクザに監禁されてたから。全然深い話じゃない。ザ・ヤクザのザ・暴力。「罪の声」とはいったいなんだったのか。

「金持ちに一発かましたかった」と素直に心情吐露する全共闘ジジイに「そんなのは正義じゃない!」とムダにアツい説教かます小栗旬はもっとウザい。だから正義だって言ってねーだろ。取材源の秘匿はどうした。おまえの取材受けたせいで、全共闘ジジイは素顔を世間に晒され静かな暮らしは失われたじゃないか。

このウザい二人に、夕方の川沿いで缶コーヒー飲みながら、「マスコミって罪な商売だよね〜」「いや、小栗さんはいい人っスョ」「やめてよ〜」みたいなBL小芝居を見せつけられた時は席を立とうかと思った。

ラストは小栗旬が社会部に戻るというクソほどどーでもいい小市民的な話で終わる。この映画は優等生的世界観から一歩もはみだそうとしない。ただ、星野源の仕事が仕立て屋だというのは無自覚かもしれないがうまかった。スーツというのは「自分は危険人物ではない」「社会の常識的な価値観に従順な小市民である」ことを示すために着るものだから。全共闘に説教するキャラクターにまさにぴったりの仕事だ。

映画を観て、考えさせられたりしたくない人、価値観を揺さぶられたりしたくない人におすすめの映画。安心して観れます。