「ミスミソウ」を観た
内藤瑛亮監督の「ミスミソウ」を観た。
2020年6月現在公開中の「許された子供たち」が気になったから内藤監督の作品を観てみたのだ。内藤監督の作品はなぜか全スルーしていた。
田舎の中学校を舞台にしたいじめと血みどろのバイオレンス映画。主人公は女子中学生。
主人公の女子中学生はボロボロにいじめられる。それがエスカレートして惨劇が起こり、復讐劇が始まる。でもスカッとジャパン系の単純な勧善懲悪ものではない。物語は意外な結末を迎える。白い雪景色の中鮮血が舞う映像はキレイでタテタカコの音楽も素晴らしい。不思議な味わいの映画。
《以下、ネタバレ含む》
いじめっ子たちは言う。
「こんなゲームセンターやカラオケもない田舎じゃ頭が狂う」
それがいまいちわからない。本作の時代設定がいつなのかはわからないが、今どきスマホがあればゲームセンターやカラオケなんかいらなくね?と思う。
田舎どんづまりモノ、田舎くすぶりモノは小説や映画で定番のジャンルだけどさ。
ゲームセンターやカラオケがないと退屈してしまうような奴は都会でも退屈するんじゃないかな。退屈は心の中にある。
バイオレンス描写は正直コメディーかなと思った。コケてちょっとした斜面を滑り落ちただけで、冬山を数百メートル滑落した人みたいに股が裂けたりするのは笑える。
それに、女子中学生があんな小さなナイフであっという間に三人殺せないよ。ランボーじゃないんだからさ。
この映画が素朴な勧善懲悪でないことはいじめのリーダー格のタエコだけが生き残ることからわかる。(タエコは野崎の両親殺害に関わっていないので、人を殺した人間は全員死んだと見ることもできるが。)
そしてこの映画は不思議な結末を迎える。タエコが野崎をいじめていた理由は野崎が好きだったのに相葉と付き合いはじめたからだという百合展開。そしてもともといじめられていたルミはタエコを好きだったという百合三角関係。
そして一人生き残ったタエコは卒業式の日に仲良かったころの自分と野崎のことを思い出す。そして流れ出すタテタカコの「道程」。なぜかめっちゃ爽やか。タエコはきっと東京に行って美容師になるのだろう。